相続の承認及び放棄
遺言は、自分が生涯をかけて築き、守ってきた大切な財産を、最も有効で有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示です(民法960~1027)。
①遺言の方式と要件
遺言には普通方式として
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
以上3つがあります。
このほか、死亡危急者の遺言、伝染病隔離離者の遺言、船舶遭難者の遺言言など、特別の方式の遺言もありますが(民法968~984)、いずれの場合も法律で定められた要件を満たさないものは遺言としての効力が発生しません(民法960)。
②包括遺贈と特定遺贈
被相続人が遺言によって遺産を処分することを遺贈といいます。
遺贈には以下のものがあります。
- 包括遺贈・・・遺産の3分の1を甲に相続させるというように、財産を特定せず割合で指定するもの
- 特定遺贈・・・土地を甲に、株式を乙に相続させるというように具体的に財産を特定するもの
遺贈により財産を取得する者を受遺者といい、特定遺贈の受遺者は、いつでもこれを放棄できますが(民法986-1)、包括遺贈の受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することになるため、その放棄は、相続開始の日から3か月以内に行う必要があります(民法990)。
③遺言書の検認と開封
遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(民法1004-1)。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人、又はその代理人の立会いをもってしなければ、これを開封することができません(民法1004-3)。
④複数の遺言書がある場合
複数の遺言書がある場合には、日付の新しい遺言書が優先されることになります(民法1023-1)。