相続分
①法の基本的な考え
最も優先されるのは遺言ですが、遺言が無い場合は話合いになります。
- 遺言書がある場合、それを尊重して相続人間で話し合って決めます。
- 遺言書が無い場合、相続人間で自由に決めることができます。
②法定相続分
遺産分割協議
相続人間の自由とはいいつつも、民法は「法定相続分」を定めています(民法900)。
しかし、これは強制力があるものではなく、相続人間での遺産分割協議における話合いの目安と、相続争い訴訟等が提起された場合の裁判所における分割の基準として定義されているものです。
- 子及び配偶者・・・・・・・・配偶者1/2、子1/2
- 配偶者及び直系尊属・・・・・配偶者2/3、直系尊属1/3
- 配偶者及び兄弟姉妹・・・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
- 子、直系尊属又は兄弟姉妹が複数いるときは、各自の相続分は等分(ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の1/2)
こぼれ話
平成25年9月に、最高裁大法廷は、結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号但書について、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとの決定を示しました。
その結果、平成25年12月5日、民法の一部が改正され、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。
③特別受益者及び寄与分
被相続人から遺贈を受けた場合、又は婚姻や養子縁組のため、若しくは生計の資本として生前に贈与を受けた者があるとき(特別受益)や、被相続人の財産の維持又は形成に寄与した者があるとき(寄与分)には、それらを考慮して相続分を定めるとしています(民法903、904の2)。
実際には、何が特別受益の対象になるか又は寄与分としての金額はいくらかなどについては、共同相続人間による話し合いにより決定することになりますが、話し合いが整わない場合は、調停、裁判等によって決定することになります。