相続時精算課税制度
この制度は、65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与について、子の選択により利用できる制度です。贈与時には贈与財産に対する軽減された贈与税を支払い、その後、相続時にその贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を控除して精算します。
相続時精算課税制度の適用範囲が拡大
平成27年1月1日以後の贈与から、贈与者の年齢要件が60歳以上に引き下げられるとともに、その贈与者に祖父母が加えられ、また、受贈者の範囲に、新たに20歳以上の孫が加わりました。
①特別控除
この制度度には2,500万円の特別控除があり、同一の親からの贈与において限度額に達するまで何回でも控除することができ、2,500万円までの贈与には贈与税がかからないことになります(ただし、相続時精算課税制度を利用した場合、2,500万円の特別控除のほかに、暦年課税の基礎控除110万円を重複して控除することはできません。)
②相続時の贈税の精算
贈与額が2,500万円を超えた場合には、超えた額に対して20%の贈与税が課税されますが、その贈与税は相続時に相続税額から差し引かれ、相続税額が少ない場合は差額が還付されます。
相続時精算課税制度と暦年贈与の比較表
暦年課税の贈与 | 相続時精算課税制度 | |
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贈与税の計算 | (贈与額-110万円)×累進税率(10~50%の6段階) | (贈与額-2,500万円)×20%(一定) |
贈与税条件 | 誰でも | 65歳以上の親から20歳以上の子どもへの贈与(改正あり) |
相続税との関係 | 相続税とは切り離して計算(ただし相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に加算) | 相続税の計算時に贈与税は精算される。精算時の贈与財産の評価は贈与時の時価 |
贈与税の納税 | 歴年単位で計算し納税暦年とは、その年の1月1日~12月31日 | 特別控除2,500万円を超えた贈与時ごとに納税し、相続時に精算 |
相続税の節税効果 | 贈与税の基礎控除(110万円)は毎年使え、非課税となる。相続時も相続開始前3年以内の贈与でなければ相続税の対象外 | 相続時に相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価なので、相続時に評価が上がっているものを贈与すると相続財産の圧縮ができ節税効果あり |
大型贈与の可能性 | 数年にわたり多年数に行えば大型の贈与が可能。ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に加算 | 2,500万円の非課税枠があり、大型の贈与がしやすい |
制度の移行 | 従来の贈与(暦年課税)から、相続時精算課税制度への移行は可能 | 相続時精算課税制度を選択した後で暦年課税の贈与への移行は不可能 |