変動損益計算書の活用
月次決算の数値から業績をつかむため、変動損益計算書を有効に活用しましょう。
損益計算書と変動損益計算書の違いって?
損益計算書は売上から売上原価を引いて売上総利益を算出し、さらに販管費などの経費を引いて、経常利益を算出します。
一方、変動損益計算書では、原価や経費などすべての費用を、材料費のように売上の増減に伴って増減する変動費と、人件費や家賃のように売上の増減に関係なく発生する固定費に分けます。
そして、売上高から変動費を引いて限界利益を算出し、さらに固定費を引いて経常利益を算出します。売上高に占める限界利益の割合を限界利益率(限界利益売上高)といいます。
なぜ変動損益計算書は業績判断に役立つのか?
変動損益計算書は、売上の増減に比例して限界利益が増減するため、損益計算書よりも業績を判断しやすくなります。
例えば、売上が20%増えると、比例して限界利益も20%増加するため、『売上の増減によって限界利益がどれだけ増減するのか』をすぐにつかむことができます。
通常の損益計算書では、売上原価に固定費が含まれてしまうため、売上総利益が売上に比例しないのです。
売上高をさらに『単価×数量』の式に分解すれば、『いくら売らなければならないのか(金額ベース)』『いくつ売らなければならないのか(数量ベース)』といった検討もできるようになります。
変動損益計算書の活用例
とある牛丼屋さんが、多忙のためアルバイトを月10万円で1人雇うかどうかを検討しているとします。
- 売価(1杯あたり)500円
- 変動費(1杯あたり)300円
- 限界利益(率)200円(40%)
この場合、1杯500円の牛丼をあと何杯売れば、アルバイトの給料分の利益を稼ぐことができるでしょうか。
正解は500杯です。10万円を1杯当たりの限界利益200円(売上@500円-変動費@300円)で割ることで求めることができます。
10万円÷1杯あたり(200円)=500杯